ダイバーなら知っておきたい潮汐と流れについて
ダイビングは、海という大自然のフィールドが遊び場になります。海には潮の満ち引きがあり、タイミングによって海のコンディションに影響を及ぼします。自然を少しでも味方につけ、より快適なダイビングを楽しむために、潮や流れについて知っておくと便利です。
この記事の目次
潮汐ってなに?
潮汐(ちょうせき)とは、潮の満ち引きのことですが、水位が最も高くなることを満潮、水位がもっとも下がった状態を干潮と呼びます。潮汐が起こる理由は、月の引力と、月と地球の共通した重心の周りを地球が回転することで生まれる遠心力が合わさって出来る”起潮力”によるものです。月と比較すると弱いのですが、太陽との間でも同じ理由から小さな起潮力が生まれています。
ほとんどの場所で、潮位は約半日周期で上下します。干満潮の時間は毎日同じではなく、少しずつずれが生じるため、満潮あるいは干潮が一日に一回しかない日もあります。
潮の満ち引きによるダイビングへの影響
干潮から徐々に満ちて海面が上昇しつつある状態を”上げ潮”と呼びます。陸に向かって流れる潮です。反対に”下げ潮”は、満潮から干潮へと水位が下がる状態を引き潮と呼びます。陸から沖に向かって流れます。ビーチダイビングの場合、下げ潮になると水位が下がるため、岩場や砂地の長い距離を、重い器材を背負ったまま歩くことになると大変です。ボートダイビングでも、上げ潮と下げ潮では流れの方向が変わることもあるので、ポイントによってはコース取りを変えることもあるので、事前に確認してくと安心です。
沖縄の潮見表をチェックしよう
ダイビング旅行の時に、事前に潮見表をチェックしておくのもいいですね。
ダイバー以外にも、海水浴や潮干狩り、釣りをする方も気になる情報です。
気象庁が発表しているサイトや、潮見カレンダーを公開しているサイトもあるので参考にして見てくださいね。
月の満ち欠けと潮の関係
古くから、潮を見るには月の満ち欠けで判断するという方法がとられていました。旧暦で使われていた太陰太陽暦では、月の満ち欠けを基準につくられた太陰暦に、季節のずれを直すための閏月(うるうづき)が加えられ、1年=13か月で運用されていました。現在の暦はグレゴリオ暦と呼ばれる太陽暦を採用しているため、月の満ち欠けとは関係のないものですが、カレンダーなどに書かれている月齢を参考に、おおよその予測をたてることができます。
潮の名前と海の状態について
大潮
地球と月と太陽が直線状に並び、月と太陽の起潮力が重なることで、一日の潮位の差が最も大きくなります。新月や満月の頃に、約4日間続きます。潮の流れが強くなることでプランクトンや魚の動きが活発になり、大型魚との確率も高くなります。魚やサンゴの産卵も大潮のタイミングで行われます。
中潮
大潮の後、約4日間続く中潮は、大潮に次いで満干潮差が大きくなります。
小潮
月と太陽の位置が直角になると、お互いの起潮力が相殺され、潮位差が最も小さくなります。この状態を小潮と呼びます。中潮の後の、上弦の月と下弦の月の頃で、約3日間続きます。
長潮
上弦の月や下弦の月を過ぎた頃です。干潮、満潮時の水位差がほとんどなく、長く同じ状態が続いているように見えることがから付けられた呼び名です。魚の動きもあまり活発ではなく、約1日続きます。
若潮
長潮の翌日、潮の動きが活発になることから潮の若返りという意味からつけられました。若潮は1日程度で、中潮を2日程経て、再び大潮を迎えます。
地形によって起こる流れについて
ダイビングでは、潮の満ち引きによる流れの他に、地形などが影響しておこる流れにも注意が必要です。ポイントの特徴や地形は、潜り慣れていないとわからないことなので、ガイドやインストラクターの指示を守って潜りましょう。
アップカレント(上昇流)
海底から地形に沿って吹き上げる流れで、切り立った根の先などは要注意です。上げ潮のタイミングで起こりやすく、急浮上は減圧症や肺損傷の原因になります。どうしようもない場合は、息を吐きながら浮上する、緊急浮上の方法を守りましょう。
ダウンカレント(下降流)
大きな根や地形に潮があたり、海底に向かって引きずり込むような流れです。下げ潮のタイミングで起こることもあります。BCDの操作やフィンキックで追いつかない場合は、カレントフックで安全を確保し、岩をよじ登るなど、落ち着いて確実に対処しましょう。
リップカレント(湾内流)
リーフの切れ目などに流れやうねりが集中することによっておこります。巻き込まれそうになったら、思い切って迂回するルートをとりましょう。ガイドの指示に従って潜ることで、リスクは回避できます。
ロングショアカレント(沿岸流)
沖から陸地に向かって、垂直ではなく斜めに流れが当たることで、沿岸に沿って平行に流れます。距離のある浜辺で起こりやすく、ビーチダイビングでは注意が必要です。
おわりに
海のことを深く知ることは、安全に潜るために必要なことです。その日潜るポイントの潮の状態や流れなどは、エントリー前のブリーフィングでしっかり確認しましょう。特に初めてのポイントなどでは、なるべくガイドやインストラクターと同じ水深を保ち、同じルートを辿ることでトラブルに巻き込まれるリスクも減少します。ですが、自然を相手にするため、予想外のことが起こることも十分考えられます。どんな時も落ち着いて、冷静な対応ができるようスキルを身に付けましょう。