快適ダイビングに中性浮力が必要な4つの理由とマスターするためのコツ
水中で浮きも沈みもせずにいる状態を中性浮力といいますが、ダイビングには欠かせない必須スキルです。水深が深くなると、空気が圧縮されて体積が小さくなり、BCDに空気を送っても浮きにくく焦ってしまいます。反対に、水面に近づくほど空気の体積は大きくなるため急浮上するという失敗もあります。講習でもしっかり練習しますが、中性浮力をマスターするためには、経験を重ねることが一番の近道です。
この記事の目次
中性浮力が必要な理由とは
・サンゴや環境を破壊しない
世界中で絶滅が危惧されているサンゴ礁は、レジャー目的で人が壊してよいものではありません。中性浮力が保てずに沈んでしまうと、サンゴに手をついて折ってしまったり、フィンがサンゴに触れていることに気付かず破壊してしまったりすることがあります。環境保護のためにも中性浮力をしっかりと身につけましょう。
・安全停止のために必要
ダイビングでは減圧症を予防するため、浮上前に水深5mくらいの深度で3分間の安全停止が必要です。アンカーロープを利用すると良いのですが、ドリフトダイビングではロープがありません。中性浮力の練習にぴったりの時間なので、安全停止の間にフィンをなるべく動かさずに浮力をコントロールできるように、練習を重ねましょう。
・疲れにくくエアーも長持ち
浮力が安定しないと、フィンで深度を調整しようと足をバタバタさせてしまうことがあります。無駄な動きが増えると疲れるだけでなく、呼吸も乱れて多くの空気を消耗します。中性浮力ができることで、体力や空気を温存し、海の中で快適に過ごすことができるようになります。
・砂を巻き上げて周りに迷惑をかけない
浮力が保てずに海底に近づきすぎてしまうと、砂を巻き上げて視界が悪くなります。一緒に潜っている人や、近くで写真を撮っている人がいた場合、不快な思いをさせてしまうかもしれません。
みんなで気持ちよく海を楽しむために、浮力のコントロールをしっかり身につけましょう。
中性浮力のとりかた
・理想的な浮力を知ろう
中性浮力を身につけるためには、身につけるウェイトが適正量である必要があります。
適正ウェイトは、ウェットスーツの種類や厚み、タンクの種類によって異なります。アルミタンクの場合は、空気がなくなるにつれて軽くなるためスチールタンクの場合より1~2キロほど重めのウェイトが必要になるため、ショップのスタッフに確認しておきましょう。
適正ウェイトの確認方法は、水面でBCDのエアーを全部抜きます。落ち着いて深呼吸し、息を吸った時の浮力で水面が目線くらいの位置が理想です。毎回調整できる環境があればよいですが、ドリフトなどの場合は確認できないため、自分の適正浮力はしっかり把握しておきましょう。
・呼吸をコントロールしてBCDの操作は最小限に
浮力の調整はBCDに頼りすぎないということがポイントです。息を吸うと肺が膨らんで体が浮き、息を吐くと体は沈みます。水深10m程度の浅いエリアでは、呼吸だけで水深のコントロールも可能です。慣れるまでは、浅めの水深で呼吸による浮き沈みを繰り返し、浮力の感覚をつかみましょう。
BCDに空気を送り込むときはインフレーターボタンを押しますが、急浮上を防ぐために、軽く短く押して少しずつ空気を入れるようにします。沈みたい時も同様に、排気ボタンを小刻みにおして少しずつ排気しましょう。ホースがある左肩を上にしてBCDの空気を集め、ホースを水面側にしっかり伸ばすと空気が逃げやすくなります。浮上が止まらない場合は、BCDの肩や腰の部分にダンプバルブがあり、紐を引っ張ることで排気ができます。一気に空気が抜けるので、使う時は慎重に操作してください。BCDはメーカーによって構造が違うため、レンタルの器材は事前にシュミレーションするなど、しっかり使い方を確認しましょう。
ドライスーツの場合
ドライスーツの場合は、胸の吸気ボタンを押すことでスーツ内に空気を送るため、ウェットスーツと比較するとウェイトの量がかなり増えます。BCDをほぼ使用せずにスーツ内に空気を送りこむだけで浮力調整ができることが理想です。足先に空気がたまりやすいため逆立ちになりやすく、上手に空気を逃がすためには、体勢の維持や操作に慣れる必要があります。
落ち着いて確実な操作を
BCDにあまり頼らないことは大切ですが、もしペースが乱れて平静を保てない場合は、呼吸を一定のリズムに保ち、BCDやフィンをうまく使って浮力を調整しましょう。過呼吸やパニックに陥るほうが危険なので、無理をせずにまずは落ち着くことを心がけてください。
浮力を調整するということは、とても難しそうな印象があるかもしれません。ですが、安全で楽しく潜るためには必要で、経験を重ねることで身に付くスキルでもあります。
中性浮力をマスターすると、より快適に海中世界を楽しむことができるので、もっともっとダイビングが楽しくなりますよ!